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お帰りなさい、カレッジ・ブルーグラス

小樽フェスに3回出場のThe Way-Faring Strangersの初代リーダー武田温志さんの企画による老舗ブルーグラスバンド・コンサートが開催されました。以下ロイ田沢がレポートいたします。

Img_3758_r ←「母からの便り」の作者、田村守夫妻と武田温志(中央)

結成50年、名門ブルーグラスバンドの競演がついに実現した。チケットは早々に売り切れ、知らずに馳せ参じたファンが涙をのんで会場を後にする姿も少なくなかった。11月22日、日曜日の昼下がりバック・イン・タウン(新宿)は14:00過ぎにはすでに満席。日本ブルーグラスのパイオニア、Blue Mountain BoysⅡ(青山学院大)、The Way-Faring Strangers(桐朋高校)、Ozark Mountaineers(立教大)の長年にわたり培われたてきた円熟のハーモニー、熟達の楽器演奏の舞台は整った。この歴史的ブルーグラスイベントは、仕掛け人、武田温志(65、ウエイファー、当時高2)が1960年代に銀座アシベで東理夫(68、オザーク、当時大2)と出会い、交流を深めたことが伏線にあり、当時これら3バンドでの競演は、所属する学生バンド組織(All U JubileeとStudent Festival)が異なったことやライバル意識などもあって、行われていなかったという。

15:00、武田のこんな経緯説明と挨拶で、半世紀を経てめでたく夢の競演が開幕する。

Img_3606_r ★Blue Mountain BoysⅡ(青山学院大)
1962年にBMBⅡ(2代目)として再結成された青学OBバンドが登場、外岡勝彦(Ba)がリードを歌い、なんと22代目、47歳阪野克幸(Fi)がハーモニーボーカルをつけて、故郷哀歌Beautiful Moon Of Kentuckyでキックオフだ。5人編成Img_3663_r で4人はみな65歳前後、MC三神直(Ma)が、“このあと上手なバンドが続くので我々はさらっと・・・”と笑いを取りながら進行、ロック系音楽事務所代表の岡田渥美(Gi)がHウイリアムズのHonky Tonk Bluesを披露すると、マンドリンをフューチャーしたインストTennessee Bluesが続き、井口良佐(Bj)がSweet Thingsを、Little White Washed Chimneyの歌詞を三神と外岡がジョークを交えながら説明したかと思えば、続く楽器演奏曲の紹介のときも、“(あえてたどたどしく)インストロメンタル・・、英語の青山、今は洋服の青山”で会場は爆笑。ペダル・スティールの名曲Steel Guitar Ragをバンジョーが主役で演奏。聖歌417、ブルーグラスゴスペルAre You Washed In The Bloodが満席の会場を振るわせた。有名なテネシーワルツより1年先に作られたのに、コード進行が難しいのであまり売れなかったと冗談を言いながら、岡田がKentucky Waltzを、作者ビル・モンローも天国で耳を傾けているに違いないと思わせる熱唱ぶり。エンデイィングは列車ソングの白眉Orange Blossom Special。長身痩躯、独身の阪野のフィドルが炸裂し、トリオボーカルがかぶさる。インストが圧倒的に多いこの曲で、華の超特急を賛美するハーモニーボーカルを聴けたのはうれしい驚きであった。

Img_3687_r ★The Way-Faring Strangers(桐朋高校)
16:00、2番手ウエイファーが黄色いシャツにジャケット姿で現れた。彼らが信奉するカントリー・ジェントルメンのFox On The Run、9/11(金)同店で開催されたウエイファー結成50周年単独ライブと同じ曲でスタート。いつものように譜面台は1台Img_3754_r もない。リーダー近藤俊策(Ma)が血圧の話から喋りはじめた。ウエイファーでは数週間のうちに救急車入院騒ぎ2件、家で転倒、手足痛め1件・・・。その点、本日来場のお客さまにマスク姿がゼロ、お元気そうでうらやましいとも。確かに初代リーダー武田はまさに満身創痍、ブルーグラスがあるからこその頑張りと頭が下がる。金子以外はみないつ何が起こっても不思議ではない年代、みんなでお祓いが必要なのかも知れない。さて、カルテット・ボーカルがすばらしいBlue Ridgeが続き、萩生田和弘(Bj)金子武美(Gi)と入れ替わりギターに持ち替えOld Flamesのリードをとる、The Fields Have Turned Brownでは林京亮(Ba)がリードを。山岳遭難悲話Matterhornに続き、インストEl Dedoではジャズ・スタイルにもある各楽器が順番にソロ演奏、特に林のWBには大きな拍手が。おなじみ曲、Red River Valleyの後は“母からの便り”。客席の作者、田村守「最上段に写真」が紹介され起立し会釈、1970年に和製ブルーグラスとしてヒットし、坂本孝昭や福森千花もカバーしている、いつ聴いてもお袋の情が身にしみる名曲である。バース2番で突然、近藤の歌唱がストップし隣の金子がフォローしたが、感無量の涙に会場から温かい拍手も。由美子夫人によれば、過去にも1回ステージ上でこのようなことがあった由。ラス前はAunt Dinah's Quilting Party、4ビートなのでWBの林には、にわかに難易度が高まるはずだが、観客はドライブの利いた疾走感ある演奏とハーモニーボーカル にご機嫌のようだった。おしまいはA Wayfaring Stranger。彼らのバンド名に酷似しているが、50年前、ウエイファーはこの曲の存在を知らずに命名したという。ドブロの武田温志もボーカルに参加、重厚な5重唱が立ち見客であふれる会場を包んだ。

Img_3796_r ★Ozark Mountaineers(立教大)
17:00、黒いスーツに白シャツにハット。東理夫(Gi)率いるオザーク4人男がアカペラでMighty Mississipiを。東はアメリカ文化にくわしい作家だけに、彼のMCは傾聴すべきものばかり。“この衣装はグランド・オール・オープリー出演者の正装でもある”、“Dixは10ドル紙幣のことで、南北戦争前にルイジアナはじめ南部諸州(Dixieland)だけで通用した”、“9ポンドハンマーなど不吉とされる数字の9が付く曲が多いのはなぜか・・・”、近著「アメリカは歌う」(作品社、来年1月発売)では、カントリー音楽にまつわる知られざるアメリカの本質を追っているという。ホーボー・ソングのMr. Railroad Manが続き、“多分、我々が一番年長、お目触りでしょうが譜面台(歌詞カード)をお許しを”(東)とエックスキューズも交えながらDark Hollow、Gentle On My Mind、
House Of Rising Sunと続く。東は日本海域偵察飛行中の遭難説をとっているのだが、米国女性飛行家の悲劇を歌うAmelia Earhart's Last Flightをナイスハーモニーで、またI Can Hear Kentucky Call Meでは日本のJダッフィー中村隆一(Ma)とのデュオでぴしゃりと決めた。そして、ビルモンの列車ソングI'm Blue And I'm Lonesomeでも、へぼちゃんこと小柳征夫(Bj)のハイテナーは東のリードテナーにうまくとけあっていた。1908年にできた米海軍の公式行進曲、
Anchors Aweigh(錨を上げて)のインストでは元バンジョー弾きの酒井孝憲のWBソロが注目された。ウエイファーの持ち歌でもあるRemembrance Of Youが終わると、最後の11曲目は
“テキサス・スウイングの創始者ボブ・ウイルスには、Cファミリー、Jロジャース、Hウイリアムズ並の評価を与えたい”(東)と添え、My Window Faces Southで締めくくった。

Img_3829_r ★フィナーレはセイクレッド・ソング“永遠の絆”

18:00、Will The Circle Be Unbroken(1935年Cファミリー)を、3バンドが勢揃いしてリスナーともども大合唱。“次回は1000人規模の会場でやりましょう”と東がクロージングの挨拶、100名超えのファンたちは余韻をかみしめるように全席禁煙の会場を後にした。懸念された雨もなく、足取り軽く・・・。

”会場にはKentucky Moon Shiners(日大)の山口代表とKentucky Cabinners(成蹊)の藤井代表も来ていた。彼らを含めた東京ブルーグラス・パイオニアズ・コンサートも近いうちぜひやってみたい”と後日、武田からのコメント。カントリーでは2~3年前から明大、法政、武蔵工大、慶応、中央、上智などのOBバンドが集結して、年次コンサートを開催している。1960~70年代に全盛を極めた学生バンドが、いま不死鳥のように甦ってきていることは確かなようだ。

なお、ウエイファーは第3回所沢カントリーミーティング(1/23(土)@所沢市並木公民館ホール、実行委員会主催)とModern Folk 2010(2/14(日)@なかのZEROホール、PAMF主催)に出演が決まっている。

敬称略 (リポーター:ロイ田沢 2009-11-25)

写真:林 郁二

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