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第1回軽井沢タウンフェス速報

浅間山も耳をすますブルーグラスの響き
連日の秋晴れ、軽井沢でまちなかフェス

Asamayama 従来のブルーグラスフェスとは一線を画すフェスが、抜けるような青空のもと軽井沢タウンエリアで処女開催された。イベント名はThe Karuizawa Town Festival(9/25-26)。特徴としては①会場がまちなか温泉旅館。外庭で昼の部、館内で夜の部、翌朝からまた外庭で。参加者には出番が3回もある②1人参加者も大歓迎、他バンドの有志が気軽にサポートする仕組み③ブルーグラスに限らずカントリーやカントリーダンスもOK。以下は、縁あって主催者の落合希実Americana Japan代表の知遇を得たロイ田沢が、所沢から愛車にギターを積み込み(関越自動車経由、約1時間半)会場に駆けつけ、2日間にわたり参加者と寝食をともにして取材した一部始終である。

Zennshibafu開演11:30、裸足で歩きたくなるような芝生は平坦で個人持ち込みの椅子が点在。大半が演奏参加者とその関係者で一般客は少ない。”町内などへの広報活動が後手にまわった”と事務局の仙石昇士がもらすが、試行錯誤の初回としてはやむを得まい。ただ、このようなすばらしい環境の中で、極上のブルーグラス演奏がごく限られたひとたちだけで独占するのはいかにももったいない。もっと多くのひとたちに聴かせたい、聴いてもらいたいのが運営、演奏サイドの強い願望であることは間違いない。

出演団体は玉石混交の15組。主催者側のアレンジで組まれた速成バンドも少なくない。名の通ったところではThe Way-Faring Strangers(東京/リーダー:近藤俊策Ma&Vo)とJ Project Band(横浜/リーダー:木村孔次Gi&Vo)を筆頭に、15年前から年2回伊勢原市で開催されているBig Mountain Opryの運営グループ、丹沢サークルのTanzawa Mountain BoysFlower Creek。そしてホストバンドのGrey Peaks(東京/リーダー:仙石昇士Gi&Vo)などで出演者総数は60名ほど。会場は軽井沢町の“ゆうすげ温泉旅館”。特設ステージは雄大な浅間山をバックに、手入れの行き届いた芝生(約400坪)脇の小高い敷地に設けられた。隣接してテニスコートがたくさんあるのでテニス合宿者も多いのだろう。浴室は小ぶりだが湯温は高目、24時間いつでも入れるのがいい。最近はやりのLCC(格安航空機)ではないが、サービスの大幅制限(配膳、給仕、ベッドメイキングはセルフ、タオル、浴衣は有料など)により1泊2食付で\8000(フェス参加費、館内2次会費用込み)と破格の安さだ。

Tannzawa11:30からのオープニングジャムに続き、先陣を切ってPA機材協力も兼ね参加した丹沢サークルのTanzawa Mountain Boys(リーダー:三瓶正行Ma&Vo)から。フォーク系の日本語曲や“お爺さんの古時計”、Mansion On The Hillなどで雰囲気を盛り上げる。途中、MC三瓶がこの6月に参加した本場ビーン・ブロッサム・フェス(インディアナ州)で、現地のリスナーにサインを求められたこと、バンドのCDを買いたいと言われたことなどの自慢話を盛り込む。舞台左手背後には雲一つない大空に浅間山がそびえている。2日前の祝日に開催の第1回茅ヶ崎ジャンボリー(カントリー&ブルーグラスの野外フェス)の悪天候が嘘のような晴天無風の絶好のフェス日和。デユオグループあり、ワンマンバンドあり、単身参加者+サポート奏者の速成バンドありで約20分の持ち時間で進行する。Roy_c 筆者ロイ田沢も、マンドリン(近藤俊策)、フィドル(安川直樹)、ベース(落合希実)、ギター&ハーモニ(仙石昇士)の応援を得て、Hey Good Looking、Together Againなどカントリーソングを数曲。今回はあいにくカントリーバンドのエントリーはなく、カントリーダンサーは吉田洋子(Flower Creekのドブロ)や林弘子など数人。芝生なのでブーツは滑らずストンプ音もないが、足腰にはやさしいので楽しげにステップを踏んでいた。Fcx6 花沢泰博(Bj &Vo)率いるFlower CreekはLittle Annie、Old Home Place、Angel Bandなどを披露すれば、所沢カントリーミーティングに毎回参加のMaam 丸山加代子(Bj&Vo)が、バンジョーが“本職”の広川正(Ba)とメリ・テリスばりのボーカルで知られる山口登志夫(Gi &Vo)を加え、Country Ma'amのバンド名で演奏した。

Jx3 Jx2今夏の横浜にぎわい座(7/17、Town Hall Party)でも好評だった関西系お笑いバンド(メンバーのうち4人が関学、関大、大谷のOB)、J Project Band(以下Jプロ)は進行都合により、出番がタイムテーブルより1時間も繰り上がるハプニングにもめげず、40分のステージを好演。落語の素養があるバンジョー杉本洋一がピアニカをおでこに当てて、デコニカだといいながら弾いて見せ笑いを取っていた。ポピュラーなRed River Valleyに続き、名曲Orange Blossom Specialでは嘉山潤子のフィドルが冴えわたった。木村が率いるメンバーは、ほかに横浜Lilly Picking Partyを主催する十鳥夫妻(文明Ba&Vo、まことMa&Vo)と今回は所用で欠席したドブロの小幡雅祥で計6名フル編成。本番前には3~4時間かけてMCもふくめた入念な総稽古をやるだけあり見応え、聴き応えとも満点のステージであった。彼らの夜の部の演奏も正に宴会芸(後述)で、相当の練習量とチームワークの良さにによるものと完全脱帽だ。

Wfroyb Wfah 1959年結成の我が国最古参ブルーグラスバンド、桐朋高校OBで固めたThe Way-Faring Strangers(以下ウエイファー)がラスマエを務めた。Fox On The Run、Little Sparrowなど彼らがお手本とするカントリー・ジェントルメンの曲を中心に、おなじみ“母からの便り”も交え絶妙のハーモニーシンギングを繰り広げ、とても病み上がり、怪我上がり、持病持ち集団には見えない。相変わらず譜面台は1台もなし。円熟の演奏とMC近藤の軽妙なトークがつい長引き、タイムキーパーが合図を出すシーンも。

Gpbjgiba Gpfi 16:00過ぎともなると、日本有数の避暑リゾートのこの高地の気温は急に下がりはじめ、日陰はもう肌寒い。昼の部の締めはホストバンドGrey Peaks(以下GP)。顔ぶれはリーダー仙石(慶応OB) のほか、のぞみ姉御こと落合希実(Ba&Vo)、立教Ozark Mountaineers時代から日本のジョン・ダッフィーで鳴らす中村隆一(Ma&Vo)、バンジョーの内田真介、そしてナオ工房(岐阜県大垣市/楽器制作・修理)代表の安川直樹(Fi&Vo)だ。なお、フィドラー安川抜きのバンド名はSouthern Windで、ムーンシャイナー誌9月号に紹介されている。The Right Melody 、Sin City 、Sun Antonio Rose・・・なかでもマンドリンをフィチュアーしたインスト、Sun Riseは圧巻だった。

夜の部では“銀恋”も飛び出す
Jプロのお座敷芸に沸く

19:00大広間でウエイファー近藤の乾杯の音頭で夜の部が始まった。トップはJプロ、You All Comeで景気づけ、Blues Stay Away From Meをアップテンポでたたみ込み、カラオケの定番ソング、“ラストダンスは私と”(原曲はカントリー)をムード歌謡調で、極め付きは潤子の女声と木村のバリトンが絶妙にからむ“銀座の恋の物語”。ブルーグラス編成でのこの手の演出はもはやMore Than Enkaigei。宴席は沸きに沸いたのは言うまでもない。

近藤俊策のブルーグラスの遊び方教室(@国立・はっぽん、毎月第4火曜日)の生徒、Angeles

翌朝はBanks Of The Ohioを

毛利律子(Ma&Vo)と手塚稲美(Gi&Vo)が、Please Search Your HeartとKeep On A Sunny Sideの2曲を、近藤のマンドリンの介添えをうけながらしっかり、かわいらしく演奏、めでたく初デビューを果たした。目下、このガールズデュオにふさわしいネーミングを募集している。

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ウエイファーが再び登場。初代リーダーの武田温志(Do&Vo)も旅館の浴衣に舞台衣装の銀ギラ ベストを羽織り、しっかりした足取りで出てきた。先ずはJessee Jamesを疾走感あるハーモニーで。なんと、“ダイナ叔母さんのキルティングパーティ”では武田がリードボーカルだ。彼の歌声はA Wayfaring Strangerのコーラスで少し聴けるだけだったのでうれしい驚き。近藤いわく、“いつ誰が欠けてもいいように、全員が歌えるように練習を重ねている・・・”は、メンバーの年齢や健康状態を思うと誇張でもなさそうだ。昼にも演奏したThe Fields Have Turned Brownの重厚なカルテットハーモニーを、聞き逃した参加者のリクエストに応えるサービスもあった。

落合姉御の発声でお楽しみ抽選会が始まった。参加者のリストバンドに記載の番号が呼び上げられ、ワイン、譜面台、バンダナ、手作り手芸品の数々・・・、全員にはずれなしで行き渡る。宴席のビール、ワイン、焼酎、バーボンは飲み放題。ノンアルコールビールもふんだんに用意されている。足が出ないのか心配になるくらいだ。

“ブルーグラスではみなさんにかなわないので・・・”と言い訳しながら、ロイ田沢が再びカントリーを歌い始めた。Bottle Let Me Down やLove's Gonna Live Here Againなど、バンジョーの花沢やギターの金子武美(ウエイファー)のバックアップでなんとか乗り切る。

ブルーグラスは白人のジャズなどとも言われるが、GPが終盤に演じたインストHeartachesはまさにそれ。各楽器が入れ替わりソロをとるので、全メンバーが主役となる訳だ。 I Can Hear Kentucky Call Meなども活き活きと、ホスト役の疲れも見せずに披露してくれた。

ブルーグラス・モーニング・ショー
円熟のウエイファーサウンドを堪能

Shibafu_2翌朝8時、前夜の宴会場でセルフサービスの朝食後、晴れ渡る外庭にでて10時からまた演奏が始まった。ウエイファーの演奏は、完璧に調整された音響システムと相まって、4重唱がさえわたる。Copper Kettle を4ビートで、平然とベースを弾きながら歌う林京亮。I know I've Lost Youもよかった。Old Flamesは萩生田和弘(Bj,AH,Gi)のリードボーカルで、Good Woman's Love では林がリードを。演奏の合間には近藤から、歌手はマイクにできるだけ近ずき、音量調整はPAさんに任せること。お互いの姿や顔が確認しあえる扇型の並びにすれば安心して演奏できるなど、フェスステージでの心得指南もあった。三々五々引きあげるグループもあったが、 Tsuda 右端:津田

米原市から駆けつけた、ムーンシャイナー誌連載の“日本ブルーグラス年表”の著者、津田敏之は最後まで残り、幸運にもロイ田沢は彼のバンジョー(&安川のフィドル)のバックアップでI Saw The Lightなどを歌うことができた。12:30ころにはホストバンドGPがOld Contry Church、Amelia Earhart、Alabama Jubilee、Hard Times Come Again No More(日本詞)など気力の演奏。フィナーレでは、みなが舞台に上がり“永遠の絆”を秋晴れの空高く響かせた。ブルーグラス万歳、また来年。13:00閉会。

敬称略 (リポーター:ロイ田沢 2010-9-30)

写真提供:石浦せいじ、木村孔次(K)

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コメント

完璧なリポート楽しく読ましてもらいました。
 見学者

投稿: bou | 2010年10月 1日 (金) 12時53分

ロイさん見ました。ありがとうございます。
まだまだ未熟者の私の事が書いてあり感動です。
これからも頑張ります。
またお会いできる事を楽しみにしてます。o(*^▽^*)o

投稿: mouri | 2010年10月 2日 (土) 09時20分

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