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ロイ田沢のカントリー聖地巡り<4>

身体は一つ、見たい聴きたいが多すぎる
最高水準のブルーグラス55バンドの競演始まる

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メインホール

9/30(金):この日から3日間、NCCでファンフェスが続く。メインホール(レベル1=地下3階)の客席中央部は指定席、折りたたみ椅子が20脚ほど連結固定され配置、ゆうに数千席はあるだろう。自由席へ物を置き占有することを禁ずるサインは例年通り。舞台両翼には大型スクリーンがあり、アーティストの大写し映像が出るので助かる。オペラグラスも活用しながら、さあじっくり聴かせてもらおう。体力との勝負にもなりそうだ。キックオフは11:00、The Grascalsから、筆者は2005年にここで彼らを見初め、翌2006年のカントリーゴールドで再会できたのだが、現在は女性バンジョーが増えている。彼らの“I Am Strong”が今年のSong Of The Yearを獲得している。以下各バンド35分持ちで進む、マンドリン名手のDon Rigsby &Midnight Call に続き、盲目の名フィドラーMichael Cleveland&Flamekeeperはあの“オレンジ特急”で観衆を熱狂させた。エンディング曲が終わると必ずスタンディング・オーベーションがありアンコール曲が演奏される同じパターン。Larry Stephenson Bandのあとは、ギターソロで魅了されたBalsom Range 、Grasstowne、Blue Highwayのベースは縦型エレキ、ワンマイクを囲む4パートハーモニーはすばらしい。楽器なしの女性ボーカリストを擁するRonnie Bowman、2008年に来日、京都カントリードリームで聴衆をうならせた Jim Lauderdale 、うまく鼻に抜く唱法はヘンリー矢板と重なる。ドブロ奏者とのデユオもおみごと。最優秀賞ウイナーのSteve Martin(バンジョー)&The Steep Canyon Rangers 、車椅子の男性ボーカリストのいるJoey+Rory、楽器演奏グループ賞を獲得したThe Boxcarsはバンジョー賞にノミネートされていたRon Stewartを擁する。そしてお待ちかねDoyle Lawson &Quicksilver のときはすでに8:00PM、ここから各バンドは50分の持ち時間となる。編成はFi、 Bj、 Ma、 Eb、 Gi、 Do+スネア。67歳を感じさせないドイルの超高速マンドリン・ピッキング。そして鉄壁のブルーグラス・スゴスペル・コーラス。先のフレームキーパーもそうだが、従来のブルーグラスバンドにはなかったスネアが加わっているのも今年の特色といえる。この後、深夜までJ.D.Crowe&The New SouthやPeter Rowanのビル・モンロー生誕100周年特集が続くのだが、前旅程のバージニア1週間の強行軍の疲れもあり、はげしい睡魔に襲われやむなく退場。

極上のエンターテインメント
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ビバ・バージンと歌うクレバリー

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会場NCCはホテル左手に隣接

アーカンソー男たちのお笑いバンド、クレバリー
10/1(土):11:00、全米から集まった腕自慢キッズたちのステージで始まったファンフェス2日目。“Blue Moom Of Kentucky”をジャム形式で延々と続ける。金髪フィドラーが魅力のNew Townとバンジョーをまるでマンドリンのようにスムーズにメロデイックに弾くMark Johnson &Emory Lesterが終演となったところでBOM渡辺社長と会食約束のため退場。待ち合わせ場所の隣接ルネッサンスホテルのロビーに向かう。ホテル1階のレストランでバージニア旅行の報告やら情報交換やら。気軽なカフェテリア方式の食事を選び小一時間を過ごす。同社企画のWOBツアー参加者は10名そこそこと少なかったとのこと。そういえば、NCCメインホールの半分は空席で、見かけた日本人も10名前後と6年前の半数だ。マーチーン・ギターなどが出展するエキスポ・ホールを見て回り、ピンバッジ、コースター、ロゴ入りステッカーなどギブ・アウエイの品々を手に入れ、WOBのロゴ入りキャップ、Tシャツ、ポスターなどを購入、ダダーリオのギター弦は日本で買う半額だ。

Img044メインステージのほかに見たいバンドがあったのでNCCのレベル2(地下2階)に向かう。マスターズ・ワークショップ・ステージでのU.S.Navy Band(Country Current)は4:10PMから。ギター2本、Wベス、バンジョー、マンドリン/フィドル兼務の5人編成。会議室2室通しの会場なのですぐ近くで聴けるのがいい。人により耳にモニターはステージ前のモニタースピーカーだけでは聞こえにくいからか。これはメインステージでも少なからず見かけた。

Img028石原

アリソン・クラウス

5PMから再度メインホール入り。Larry Cordle&Lonesome Standard Timeはラリー自ら書いたカントリーの名曲“Murder On Music Row”も披露。ブルーグラス一辺倒の中で聴くカントリーに心が落ち着く。1時間の休憩と3演目はパスして夜の部に備える。7:50PMからのAlison Krauss& Union Station+Jerry Douglas(ギター&ボーカル)のアリソンは同行H氏のお目当て。1時間後にマーチン・ギター社提供の抽選会(特賞は当然ギター:型式までは聴き取れず)と続きThe SteelDriversが登場、残念にもフィドラーの音は重い感じ、バンド全体のボーカルハーモニーに粗さが気になったのは気のせいか疲れのためか。女性ボーカル賞を獲得したDale Ann Bradleyの時は、不覚にも居眠りというより熟睡 、全く覚えていない。次ぎの男性ボーカル賞のRussell Mooreは長身・巨躯、にきび跡?の目立つ顔立ちながらその美声・声量に圧倒される。バンドⅢrd Tyme Out(サード・タイム・アウト)ともどもしっかり聴けた。出身州も忘れないていねいなメンバー紹介やゴスペル・コーラスでのベース奏者の重低音が印象に残った。この日のトリはアーカンソー州生まれのコミックばんどThe Cleverlys。ムーンシャイナ誌に連載された昨年版WOBリポート(記:本間正敏氏)で好評だったのでマークしていたグループだ。袖から出てくるさまから先ずおかしく笑わせる。本場ブルーグラスバンドにはピエロ役が1人はいるものだが、彼らは全員がそうだ。“I'm A Single  Lady”や“ビバ・バージン”とう曲ではお色気満点のセリフ(想像翻訳でなんとなく分かる)や演奏スタイルで客席を沸かせていた。フィドル/マンドリン兼務 、スネア/マンドリン兼務、ギター、Wベス、 バンジョーの5人。ここにもスネアがある。

懐かしや“谷間に3つの鐘”
アイザックスの、ブラウンズにも勝るコーラスに感涙

10/2(日):午前中でファンフェスは終了だ。10:35からのAmerica's Bluegrass Gospel Showから見るべくメインステージへ。熊本から、WOB会場がケンタッキー州ルイビル時代(ナッシュビル開催は2005年から)から毎年参加で今年は14回目のI女史の隣席が空いていたのでご一緒させていただいた。 数バンドが演奏したが、“永遠の絆”の替え歌や、少年マンドリニストがいるバンドは“Fly  Away”を高速演奏していたのが記憶に残る。WOB全体を通じてインストゥルメンタルの超高速化は6年前とは顕著に異なる点の一つだ。最後は楽しみにしていたThe Issacs(アイザック家バンド)。編成は左からバンジョー/ギター、ギター妹、母(ボーカルのみ)、スネア/カホーン、カホーン、マンドリン姉、Wベース兄か弟、フィドル。またまたここにもスネア。母娘トリオボーカルがあり、バンジョーウクレレとベースだけの伴奏での4パートハーモニーで“Every body Sing Along”あり、ガン撲滅活動の話あり、“Fly Away”やクリスマスソングの“Walk On”あり、トリオ、カルテット織り交ぜての楽しい舞台。極め付きは昔ブラウンズが歌って大ヒットした“谷間に3つの鐘が鳴る”である。お母さんと2人の娘1人の息子が絶妙の4重唱で会場を包み込む。この曲をこれほど完璧なカルテット・コーラスでここナッシュビルで聴けるとは。もう感動の涙、Iさんも鳥肌が立ったとの感想だ。3日間のファンフェスを締めくくるにふさわしい名演であった。メインホールでの演奏バンドは約50、うち27バンド(別会場では2バンドのみ)を鑑賞したことになる。

バージニアの野外フェスで見たブルーグラス・バンド、ナッシュビルのGOOで見たカントリーバンド、WOBで見たブルーグラスバンド、ホンキトンク街で見たカントリーバンド、2週間で50近くの本場最高レベルの
カントリー、ブルーグラスに触れたわけだ。筆者の好みでベスト10(順不同)を挙げてみよう。
<バージニア野外フェス>
①The Bluegrass Brothers
②Nothin' Fancy
<グランド・オール・オープリー・ハウス>
③Charlie Daniels Band
<アワード賞@ライマン公会堂>
④Del McCoury Band
<ファンフェス@NCC>
⑤Jim Lauderdale
⑥Doyle Lawson& Quicksilver
⑦Russel Moore &Ⅲrd Tyme Out

⑧The Cleverlys
⑨The Issacs
<ナッシュビル居酒屋街>
⑩Mike Siler& Dreamers Of Dream

さらに音楽傾向と旅行全体で強く感じたことをまとめてみる。
①ブルーグラス演奏の超高速化が顕著
②スネアーを加えたブルーグラスバンドが多い
③各バンドともお客を楽しませることに徹し、工夫をこらしている
Img050 ④こどもたちの参加が多い

kids On Bluegrass Jam、1階のラウンジで

⑤空港警備がきびしい。国内線は搭乗ゲートの直前変更は当たり前
⑥3つ星以下のホテルの水まわりは劣悪
⑦食べ物はまずくはないが量が多すぎ
⑧アルコール飲料は買うことも飲むこともにも不便
⑨寿司など日本食は意外にうまい
⑩カントリーラインダンスは見かけない。カップルかクロッギング
⑪景気が悪い。売り家、空き店舗、廃業・撤退店が目立つ
⑫バージニア州はマウンティン・ミュージックの宝庫で街並みや自然の景観もみごと

<完>   (リポーター:ロイ田沢 2011-10-18)

写 真:初山峻彦、石原孝子

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